2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

愚痴

亡き母は、極貧、父の癇癪に耐え、激することなく淡々と、何事も工夫して暮らしていた。 それでも、二人の娘(私の姉たち)が自活したあと、伯母(母の姉)にこんな話をしていた。 「この子を(幼かった私)連れて家を出て、旅館の住み込みでもしようかしら…

冒険したくない人

昨日は、夫、娘、孫娘といっしょに、海辺の、サービス付き高齢者住宅の内覧に行った。 エレベーターが止まった時も困らない、1階の部屋を申し込んでいた。 運よく、空きが出たと連絡が来て、さっそく見に行った。 部屋はバリアフリーになっていて、緊急時の…

先生

夏になると5時には起きて、涼しいうちに散歩をする。 寒い間は、7時まで床の中にいる。 起きると、電気やガスなど使い、光熱費が発生するので、節約のためである。 今朝は例外で、寒いけれど5時に床を離れた。 引っ越し気分が盛り上がってきているせいかもし…

脳は、その瞬間には一つのことしか考えられないのだと、聞いたことがある。 今までは、願い事が叶うようにと、引き寄せの法則など、やや、怪しげな方面のことを考えていることが多かった。 変化が欲しいと願っていたから。 少しの間海の近くに住んでみたいと…

脅迫

現在住んでいる団地の排水管工事が始まった。 築40年以上なので、水回りを大々的にメンテナンスする。 室内工事も一週間ほどあるため、その間は旅行でもすればいいのだが、夫の透析が問題だ。 国内外、都市部なら透析施設はあるので、「海外でも紹介しますよ…

カート

十年ほど前、右肩、右足が痛くなった。 整体の先生から、「身体の右側に負担がかかっているから、荷物は背負ったほうがいい」とアドバイスを受けた。 手提げ袋ではなくリュックにして、スーパーマーケットでも、カートを利用するようになった。 半年ぐらいで…

キャラメル・パパ

早朝、ラジオで歌番組を聞いていたら、ある言葉が飛び込んで来た。 自分が大昔に書いた話のタイトルによく似た言葉だった。 私にとっては初耳で、完全にかぶっているわけではないし、私がパクったわけでもないから、冷汗をかくようなことではない。 偶然、似…

野生

スーパーマーケットのレジで、購入品のチェックを受けていた。 すぐそばの精算機の前で、「日本人は、どうしてこんなに真面目なんだろうね」と、言う声がした。 レジの操作をしている中年女性が、「外したいんですけど、上からのお達しで」と相槌をうつ。 さ…

裏道

裏道を探すのが得意な人がいる。 渋滞を避けるためだというが、ゲーム感覚で楽しんでいるように見える。 乗せてもらうと、新しい景色が展開し、わくわくする。 彼女の連れ合いは、「マジ、近道なの? 時間短縮になってんの?」と、笑う。 裏道好みのドライバ…

白い生活

昨日から、夫の透析を受ける時間が四時間から五時間に延長された。 週三回、一回五時間、人工腎臓装置に助けられて暮らす。 透析のほかにも、ペースメーカーをつけているので、心臓の機能をチェックするために、別の病院にも通う。 高齢者が病院通いをするの…

分類

「あの人は怒りっぽいよねー」といったりするけれど、その人だって、起きている間中、あるいは、夢の中まで怒っているわけではない。 孫娘はのんびり屋だと言われることが多いけれど、「焦ることだってあるよ」と、いう。 家のすぐ近くのスーパーマーケット…

最後に食べるもの

父は、93歳で亡くなる前、カボチャの煮物を食べた。 遠出が辛くなるまで魚の行商をしていて、魚は自分で調理して、朝昼晩食べていたが、寝込んでからはいらないと言った。 父は癇癪もちで気難しかった。ケガで入院した時も、「あの人もイヤ、この人もダメ」…

お金

亡き父母は、敗戦間際に、母方の伯母を頼って疎開した。年子の姉たちは女学校から男女共学の新制高校に転校した。その時三歳だった私には、敗戦時の記憶はない。 疎開先は山奥の村で、父は魚の行商、母は和裁をしていたが、極貧生活だった。 伯母の家は農家…

徒歩

近所の家の娘さんが都内に通勤していた頃、家まで歩いて帰る体験をしたという話を聞いた。基本的に、線路沿いの道を歩いたということで、「建物が崩壊したり火事が起きたりする地域から何とか抜け出せて、途中にある鉄橋や橋が崩落しなければ、歩いて帰れる…

ガラス張り

昨日は暖かく体調も良かったので、少し遠くまで散歩した。40年ほど前、引っ越してきてから、団地周辺を散歩しているが、畑や竹林、梅林はどんどん宅地化され、戸建て住宅やアパート、マンションが立ち並んでいる。 そんな住宅街の中に、ガラス張りの小さな店…

ばあや

社交的ではないので、友人は4人しかいない。 そのうち二人がご主人を亡くし、広い住居に独り暮らしである。 なぜか二人とも、「ご主人といっしょでいいから、引っ越しておいで」と誘う。 夫にその話をすると、「老人が助け合って暮らすのはいいことだけど、…

今、が問題

ラジオの深夜放送を拝聴して元気をもらっている。 恵まれた環境で育ち、学問や芸術分野で花開き、大勢の人の役に立っている人。 逆境を逆手に取り、社会活動やビジネスに生かした人。 ひたすら好きなことを追求して、充実した人生を過ごした人。 共通するこ…

夫が心臓の治療を受けているので、経過観察のための検診があり、付き添いをした。 タクシーを呼び、家を午後二時半に出て病院に三時前に着く。予約なのに、受付をしてから待つこと二時間、受診時間は三分。 次回の検査の予約を取るために30分待つ。書類を受…

一皿盛り

夫の転勤先で知り合った友人から、「朝食だけでも一人一皿盛りにすると洗い物が減るよ」とアドバイスされ、仕切りの着いた木製の皿を買い、実行していたことがある。 いつの間にか、元のように、大皿や鉢に盛り付け、それぞれ好きなだけ取り分けて食べるとい…

赤い靴

夢をみた。 友人たちと何軒かの飲食店を回った後、独りで歩いていた。舗装されていない砂利道をはだしで歩いている。どこかの店で、赤い靴を脱いで、置いてきた。 戻ろうかとも思うが、新しくスニーカーを買おうかなとも思っている。 目が覚めた。 平底の真…

当たり年

去年は寅年で、84歳だった夫は年男だった。 背中の小さな腫瘍を摘出したのが三回。 前立腺炎で高熱がでて、糖尿病でもともと見えにくかった視力がさらに落ちて、手探りで暮らすようになった。慣れた家の中では自分で歩けるが、外では車椅子使用になった。 散…

千ピース

30年以上も前の話。 娘の彼氏が交通事故で足に大けがをして入院した。見舞いに行くと、彼は足にギプスを巻かれていたが、いつもと同じように元気で明るく、ニューヨークの夜景のパズルに取り組んでいた。千ピースだと聞いて、驚いた。退院後、完成した作品を…

知らぬが仏?

築40年を超えた団地に住んでいる。最近、配管取り替え工事の音がすごい。テレビやパソコンの音などかき消されてしまう。それでも、老朽化した住まいはメンテナンスしなければならない。期間も限られている。 工事をする人は大勢いるので、なにか特別なトラブ…