徒歩

近所の家の娘さんが都内に通勤していた頃、家まで歩いて帰る体験をしたという話を聞いた。基本的に、線路沿いの道を歩いたということで、「建物が崩壊したり火事が起きたりする地域から何とか抜け出せて、途中にある鉄橋や橋が崩落しなければ、歩いて帰れるかもしれない」とのことだった。

 

この話を、都内に住む息子に話したら、「俺たちはクルマを持ってないから、休みの日には歩いて遊びに行くようにしている。三人とも、足は強い」ということで、嫁さんと娘には、その時の状況をみて、嫁さんの実家か、我が家に歩いて避難するようにと言い聞かせてあるという。

息子は、区立の高齢者施設の責任者なので、災害時には、平時の施設利用者だけではなく、近隣の高齢者も受け入れ、避難所としての仕事の指揮を執らなければならない。家族をかまってはいられないのである。

 

娘はバイクや車が大好きだが、来週、屋久島に行き、一日八時間歩く予定なので、二か月ほど前から歩く練習をしてきた。

 

十年前、夫が透析を受けることに決まった時、万が一の時には徒歩で通える病院を選んだ。今は、室内では歩けるが外では車椅子使用になったので、私が車椅子を押して病院まで歩いて通えるかが問題である。

災害時に、送迎がストップしたら、入院して透析を受けるしかないだろうと子どもたちは言うが、「病院の飯は嫌だ」という夫のために、私は体力を保持しなければならない。

 

災害時、幸運なら自宅でしのげるかもしれないが、病院よりうまい飯が用意できるのだろうか?