冒険したくない人

昨日は、夫、娘、孫娘といっしょに、海辺の、サービス付き高齢者住宅の内覧に行った。

エレベーターが止まった時も困らない、1階の部屋を申し込んでいた。

運よく、空きが出たと連絡が来て、さっそく見に行った。

 

部屋はバリアフリーになっていて、緊急時の連絡システム機器もついたいた。

団地内はアップダウンもなく、道路とアプローチ、アプローチから建物への仕切りに段差もない。

駅まで7分、大型スーパーもあり、飲食店も並んでいる。

 

みんなで昼食をとり、孫娘が車いすを押して、海岸も散歩した。

春休みなので、浜辺は、若者や子供連れの人たちでにぎわっていた。

現在住んでいる分譲の団地は、40年経って、高齢者ばかりになり、活気がない。

 

しかし、帰りの車の中で、夫は、「今日は、みんなにつきあってもらってありがとう。世話をかけたね。気晴らしをしたいというおかあさんには悪いけど、俺は引っ越しとか、透析病院を変わるとかには、もう、対応できない」と、きっぱりと言った。

 

帰宅してから、娘からラインが入った。

「お疲れ様。残念だったね。お父さんは、耳や目が超不自由で、手探りで暮らしてるから、慣れた所でないと不安なんだね」

 

40年住み続けた場所の地縛霊が、夫にとりついている。

安倍晴明にはなれない、非力な自分である。

残念だ。