ガラス張り

昨日は暖かく体調も良かったので、少し遠くまで散歩した。40年ほど前、引っ越してきてから、団地周辺を散歩しているが、畑や竹林、梅林はどんどん宅地化され、戸建て住宅やアパート、マンションが立ち並んでいる。

 

そんな住宅街の中に、ガラス張りの小さな店があり、数人の女性が縫物をしているのが見えた。初めて見た頃は中年だったお針子さんたちは、いつしかおばあさんになった。

昨日、通りかかると、看板を下ろして玄関先に立てかけ、家じゅうカーテンで閉ざされていた。

 

親戚の女の子も、若い頃は都内の目抜き通りのスタジオでジャズダンスを教えていた。会社帰りの夫が、ガラス張りのスタジオで踊っている彼女を見つけて、「親は知ってるのか?」などと、心配顔で言ったこともあった。

 

何年か前、私は、『ごろ寝屋』という小説を書いた。障害のある人や高齢者が暮らしているグループホームをガラス張りの建物に設定した。

もちろん、自分を見せたくない人は、外から見えない部屋で暮らすわけだが。