それぞれの諦め
検査と受診の結果、夫は四回目の心臓の手術をしないことになった。
どんどん体力が落ちてきているので、透析を続けるだけの現状維持。
6月末に1週間ほど、団地の排水管の室内工事がある。
「海辺のホテルにでも行けば?」と娘が提案。
それならと、私は欲を出した。
夏の間部屋を借りて、夫と二人で海辺で過ごそうと思ったのだ。
快適なら、最晩年はそこで暮らすのもいいかなという気持ちもあった。
残念ながら、もう、夫には変化は危険だ。
私の勇み足で契約した海辺の団地の部屋は解約しなければならない。
契約前に、短期で解約してもペナルティーはないことを確認している。
退去時に部屋の査定はあるが、入居していないので、規定の日数分の家賃を払うだけで済むと思う。
夫は手術を、私は転居による気晴らしを諦めた。