当たり年

去年は寅年で、84歳だった夫は年男だった。

背中の小さな腫瘍を摘出したのが三回。

前立腺炎で高熱がでて、糖尿病でもともと見えにくかった視力がさらに落ちて、手探りで暮らすようになった。慣れた家の中では自分で歩けるが、外では車椅子使用になった。

散歩中に転んで救急搬送、脳の検査で小さな脳腫瘍が見つかった。

聴力も急激に落ちて補聴器も作り替えたがクリアに聞こえるわけではない。音が聞こえにくいだけではなく、言葉として認識する力が落ちている。

透析10年目で、腎臓だけでなく心臓も弱ってきて、ペースメーカーをつけ、心臓を取り巻く血管を拡張する処置も二回受けた。

 

顔見知りになった救急隊員の方から、「この間は、何でしたっけ?」と訊かれたりするようになった。初めの頃は、「ご家族に知らせなくてもいいんですか?」とも尋ねられたが、「みんな忙しいから」と答えたら、「ですねー」ということになった。

 

夫は食欲旺盛、快活な性格なので、何回救急搬送されても、蘇る。

心臓の治療で二十日間入院した時は、「飯がまずかった」ということで、体重は56キロから50キロに落ちた。透析病院の主治医から、「52キロをキープしましょう」と言われ、水分制限で苦戦中である。

子どもたちは、「父さんは飲み食いだけが楽しみなんだから、食事のことで、二人でギスギスしないでね。母さんもストレスになるでしょ」という。

 

パソコンでドラマやユーチューブを観るのが私の気晴らしなのだが、観ながら、だらだらと菓子を食べ続けるせいか、この一年で、体重が48キロから52キロになった。