身体観

心臓の血管拡張手術を受け、ペースメーカーをつけ、これ以上手術はしないと言っていた夫が、心変わりをした。

循環器科の医師から、「心臓の弁が硬くなり正常に作動していない。このままでは透析ができなくなる」と言われ、手術を受けると言いだした。

10年間透析を受けてきて、85歳になった今、身体改造してまで生き延びたいという夫の気持ちが理解しがたい。

 

「親やおじさん、おばさんたちがみな90過ぎまで生きたから、俺も92歳ぐらいまでは生きたい」と言われ驚いた。

ほとんど見えない、聞こえない、戸外では車椅子という体で、あと7年も生きたいとは!

「食べるだけの生活でいいの?」と尋ねたら、「それ以上に何がある」と、即答。

参った!

 

二十歳ぐらいまでは喘息で苦しんだ私だが、幸いにもその後は大病をしたことはない。

60歳のとき、還暦だからと健康診断を受けてみたら、特に異常はなかった。

それ以来20年、苦痛がない限り病院からは遠ざかるようにしている。

 

72歳で腸のガンが見つかった母は、「今更手術はしたくない。このまま寿命まで」と、治療はしなかったが、90歳まで普通に暮らし、10日ほど寝込んだだけで自宅で大往生した。

 

夫は、75歳まで、「俺は健康優良児!」だった。

10年前、透析を受ける選択をした時点で、西洋医学の信者になったのだろう。