夢を壊す人
子どもたちが小さかった頃、私がイベントなどに参加しようとわくわくしていると、二人のうちどちらかが体調不良になることが多かった。
こちらも作戦を立てて、当日の朝まで言わないことにした。
30代は、消費者団体の活動に入れ込んで、毎日のように出歩いていた。
小学生だった子どもたちは、学校から帰ってからも元気に近所の友だちと遊びまわっていた。
夫は、高度成長からバブル時代を働き通した。
「24時間働けますか?」 「はいっ!」
企業戦士だった。
あなた働く人、私遊ぶ人。
10年前、夫は透析患者になった。
コロナ時代になり、高齢者は自粛。
コロナは終わりかかっているが、夫にはもう、遊ぶ体力がない。
なんとかして一緒に楽しいことをしようと思っても、悪あがきになってしまう。
80歳、元気に動けるのはあと数年だろうと思うが、自分だけ活動するのは気が引ける。
キラキラした人と出会って、活動に夢中になるのが怖い。
動けない夫を邪魔だと思うようになるかもしれないから。
夢を壊すのは他者ではない。
自分の気持ちなのだとわかってはいるが、今は動けない。