夢うつつ
ワンコはソファーで眠っている。
飼い主の娘一家は、四人ばらばらに旅行中らしい。
団地はペット禁止なのだが、数日間ないしょで預かっている。
悪戯や無駄吠えをしないおとなしい小型犬なので、イラつくこともない。
夫は透析に出かけ、私は3か所の押入れの中身を少しずつベランダで干している。
夏場に2,3か月家を空ける予定なので、布団などがかびたり虫が着いたりしないように、乾燥させて袋に詰め防虫剤で守ることにした。
築40年、高齢者ばかりの団地は、いつもと変わらずシーンとしている。
何年か前までは、休日には幼い孫を連れた若夫婦が尋ねてきて、結構にぎやかだった。
その孫も成人して、親にくっついて祖父母の家に来る人も少なくなったのだろう。
我が家も同じだ。
新緑の窓外は初夏の日差しがまぶしい。
静かすぎて眠くなる。
高名な脳科学者が、「必要なことだけして、後は寝てればいいんですよ」と話していたことを思い出した。
ワンコのように。