謎が解ける時

民間の不動産屋は高齢者には住まいを貸さない。

何事も例外はあるので、大金を積むとか、社会的に信用できる人の紹介などがあれば例外として認められるかもしれないが。

 

高齢者の救いの神は、都市整備公団で、家賃二か月分の頭金を払い、必要書類をそろえ、2時間近い説明と事務手続きをすれば、鉄筋コンクリート、防音バッチリ、耐震基準もクリアーした部屋が、保証人なしで借りられた。

 

スープの冷めない距離に娘の家族が住んでいるのに、敢えて、電車で1時間半ほどかかる海辺の街に引っ越したいという私の気持ちは、家族には理解不能、「くそババアの気まぐれ」である。

だから、ないしょで、さくさくとことを勧めた。

 

不動宣言をして、梃子でも動かないという夫はどうするのか?

 

80歳の婆さんが、なぜこれほどまでに移動したいのか?

謎は、いつか解けるだろう。

「ああ、そういうことだったのね」と。

 

例えば、20歳ぐらいまで海辺で育った夫が、最晩年を海辺で暮らして、元気で楽しい日々になったとか。