リハビリ、リハビリ

母は亡くなる十日ぐらい前まで、家事をしていた。寝込んでも在宅のまま、点滴を数日間受けただけで、老衰で静かに息を引き取った。90歳だった。

 

中年の孫娘と小学生、中学生の二人のひ孫と同居していたのだが、孫娘は仕事に出ていたので、母は最期まで現役の主婦だった。

若い頃から心臓や腎臓が弱く、超健康ではなかったが、無理をしないように上手に暮らしていた。

 

晩年の母の口癖は、「リハビリ、リハビリ」で、休息をとりながら、掃除や洗濯、近所への買い物、手抜きしながらの食事作りをしていた。雑用をすることがリハビリになると考えていたのだろう。

 

80歳になった私は、「頑張らない、頑張らない」と、心の中でつぶやきながら雑用をこなしている。