ふしぎな体験

自己啓発をやりまくって、すれっからしになり、やめていた。

花粉症のせいもあり、鬱々してきたので、久しぶりに、あるメンタルトレーニングをやってみた。

過去の記憶を書き換えるという課題を試してみた。

 

亡き両親は超貧乏暮らしで、喧嘩ばかりしていたという記憶が強烈に残っていた。

さて、どう書きかえるのか?

 

しばらく目をつぶっていたら、父親がたき火を楽しんでいた光景が浮かんだ。

母親は、和裁が得意で縫物をしているときは幸せそうだった。

秘境に近い山奥の住まいだったが、山から引いた水は磨かれたように澄んでいた。

苔むした水屋に差し込む木漏れ日。

 

気が付いたら、じんわり涙がにじんでいた。

 

超貧乏、喧嘩ばかりという、ひとくくりの言葉で記憶していた父母の暮らしを、映像みたいに思い出してみると、気分がやわらかくなった。

 

透析から帰ってきた夫がパジャマにきがえている。人骨標本に皮をかぶせたような、やせ細った裸体を眺めた。ここには、ホロコーストに似た映像がある。